名経営者の建築と風水1 -松下幸之助氏に学ぶ-

設計を頼まれる際、お客様自身が家相や風水を気にして自ら学んだりまた風水師に依頼する事が実際にあります。せっかく建てるのなら運のよい家、儲かる仕事場にするために一般的設計よりもそちらを重視したいと思っている人がほとんどなのかもしれません。

家相や風水の一般的な書物は出回っていますが、しかしあくまでも占いごとで、それが本当に効果があるのかはよく解りません。それならば実際に成功を収めている著名な方々から家相や風水を読みとれば、何か一定の法則が存在しているのではと思い立ちました。
そこでいわゆる成功者、角界一流強運の著名人がどのような考えで自分の建物を建てその土地を選び暮らし、強運を育んできたのかをひもといてみれば、本当の意味の家相や風水に迫れるかもしれません。
今回は、経営の神様≪松下幸之助氏≫に焦点を当てました。

数々の著書から拾い出し6項目にしてみました。(パナソニックHPより一部抜粋)

1.松下氏と鬼門 2.松下氏と便所掃除 3.松下氏と高野山 4.松下氏と運 5.松下氏と日本の建築と日本の庭園 6.松下氏と心

1.松下氏と鬼門

幸之助氏は門真の土地を買収したが、他人から北東の方角は「鬼門」といって縁起がよくないと言われた。しかし幸之助氏は「鬼門で大成功して迷信を打ち破ってやろう」という気持ちが沸き上がり、この地で実際に大成功を収める結果となった。結局は風水や家相・方位うんぬんよりも、まず、土地を愛し、人を愛する事、地と人との「共存共栄」が一番の開運を呼び込む事だという事を松下幸之助氏は「肌で感じ取っていた」ようだ。

2.松下氏と便所掃除

社内で誰も嫌がって年末掃除をしなかった便所を「便所はみんなが使う、自分たちのものである。それを掃除するのに、何の理屈があるものか! たとえ仕事ができても、常識的なことや礼儀作法が解らなければだめだ」と言い、松下氏自ら便所掃除をした。

3.松下氏と高野山

松下氏は、高野山に参詣して「心引かれるもの」を感じ、この霊域に、物故従業員の慰霊塔と先祖の墓碑を建てたいと考え、実践した。トイレにも先祖にも「感謝の気持ち」掃除と先祖供養は風水の基本である。この基本を松下氏は自ずと実践していた。
昔から今に渡るすべてのものに感謝して素直に物事を見るという事だ。

4.松下氏と運≫(PHPホームページより)

 「商売がうまくいかないのは、時勢でも運でも何でもない。その経営の進め方に当を得ていないところがあるからだと考えなければならない」と幸之助氏は語っている。やる事もやらないで「運」とか「風水」とか言うんじゃない。しっかりやったら、その後に初めて運がついてくる。

5.松下氏と日本の建築と日本のガーデニング

現在パナソニックグループの迎賓館として使われている、「真々庵」に松下氏の神髄が見られるという建物がある。この「真々庵」など「茶室や日本庭園・禅」に小宇宙を感じ、自分の我では無く森羅万象宇宙の根源を感じ素直な心で「ワンネス」という感覚を得ていたのでないかと思わせる文章が多数あります。この庭は彼の思想であるキーワード「素直な心」の原点を形にしたようだ。「真々庵」(しんしんあん)という名称は、真実真理を探究する道場であること、辺りがシンシンと静かであることなどの意味を重ねて、本人が命名した。

 

6.松下氏と心(PHPホームページより)

 
一切を許し入れる寛容さ、物事の実相を正しく見、その価値を正しく認識して道理を知る心こそ素直な心なのであるとらわれない心といってよい。素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む。-松下氏の風水の基本は「素直な心」肌で感じるものにあるようだ。

著書の紹介 松下幸之助著 素直な心になるために(PHP研究所)、

      江口克彦著 松下幸之助 散策・哲学の庭(PHP研究所)

真々庵
真々庵